「野生生物と社会」学会 野外講座
野生動物保護管理 基礎コース(Wildlife Management Basic Course)

主催・共催・後援

主催:「野生生物と社会」学会青年部会 グリーンフォーラム

共催:文部科学省「社会人の学び直しニーズ対応教育推進プログラム」

   日本獣医生命科学大学「農学系大学出身者の再教育による野生動物対策専門職育成プログラム」

   「野生生物と社会」学会青年部会 グリーンフォーラム

後援:長野県大町市


目的

 近年、野生生物を取り巻く環境は複雑に変化し、様々な問題が生じている。その解決のためには生態学、環境学、遺伝学、獣医学などといった生物に関する学問だけでなく、社会学や経済学など人と生物に関連する学問への広い見識を持った人材が早急に求められている。そのような人材を育成するために各地の教育機関で専門のコースや研究室が設置されている。しかし、野生生物が生育生息)する場所は様々な自然環境であり、また問題発生には人間側の要因が絡んでいることが多く、教育機関だけでは解決のための広い見識を提供することが難しい。そこで、多彩な人材が参加する学会によって基礎的な調査技術および知識の習得と、問題解決のための学際的な視野を提供することを目的とする。


場所

長野県大町市 (http://www.city.omachi.nagano.jp

講義会場:長野県山岳総合センター(http://www.nagano-c.ed.jp/sance/

宿泊先:大町市葛温泉 高瀬館 0261-22-1446


日程

平成19年9月28日(金)~平成19年9月30日(日)


講習内容

1.座学1 「野生動物問題」 野生動物と人をとりまく様々な問題について。

 講師:羽山伸一先生(日本獣医生命科学大学野生動物学教室 准教授)

2.座学2 「野生動物保護管理に果たす研究者の役割」 エゾシカの保護管理を事例に。

 講師:梶光一先生(東京農工大学農学部野生動物保護学教室 教授)

3.座学3 「野生生物の保護・管理と地域マネジメント 」 地域経営への専門家のかかわり方。

 講師:敷田麻実先生(北海道大学観光学高等研究センター 教授)

4.座学4 「地域の対策事例」 大町市のモンキードッグ。

 講師:大町市職員


5.フィールド1  野外調査の概論。動物別の調査方法・捕獲方法・関連法規・Zoonosisについて。

 講師:GF幹事

6.フィールド2  野外調査に必要な機材の使用方法、地形図、歩き方、必要な装備についての講義、および大町市に生息する野生ニホンザルのテレメトリー調査。

 講師:GF幹事


7.オプション 大町山岳博物館見学ツアー。

8.お楽しみ  宿泊先は源泉かけ流し温泉☆

9.二日目は獣肉バーベキューで懇親会をします♪


参加人数

16人


概要

 コース開催については、「野生生物と社会」学会青年部会の企画のひとつとして今年度より準備を進めてきた。6月までに開催地・講義内容・講師などを決定し7月より募集を開始した(WildLife、WL-SNT、ワイルドライフフォーラム誌、学会HP、関東農政局にも依頼)。7月に文部科学省のプログラムの実験的コースとして共催を受けることとなり、その旨を加筆し追加募集(8月末)を行ったところ、参加者は計16名(当日キャンセル1名、スタッフ含む)、内訳は学部生が11人/16人中、社会人・院生が5人/16人中であった。基礎コースの対象としている野生生物保護管理の現場に関わる社会人や関連学部既卒者よりも、低学年の学部生の参加が多かった。社会人はWildLifeMLを見ての募集とのことであった。

 コース内容については、野生動物管理学にかかわる講義を9時間(個体群管理の実際、希少動物管理、関連法規、管理システム論、各種動物の生態)、フィールド調査に関わる実習を8時間(テレメトリー調査、捕獲方法、ワークショップ技術、里地里山管理技術、各種防除施設設置技術)に相当する内容を実施した。

 最終日のワークショップでは「あなたが専門家になるには?」として2グループに分かれて、1時間ほどのディスカッションを行った。まとめとしては、まず自分の専門性を認識し、この基礎コースや現場を通して、問題解決のために必要な他分野の理解をもち、関係者でのネットワークを作る。そのネットワークが確立されることで、専門家としての役割が確立できるのでは、となった。

 これを受けてコース参加者間でMLを作り、今後のネットワーク作り・基礎コースの企画について意見交換の場とすることが承認された(保護学会長も同席)。

※なお、詳細はワイルドライフフォーラム誌12巻4号に掲載しております。


企画担当者

企画責任者:安富舞(神奈川県)・浅利裕伸(帯畜大)・西貝怜(東海大)