大会長のご挨拶並びに趣意書

野生生物と社会学会にご参加予定の皆様
大会長  佐藤 喜和
酪農学園大学環境共生学類 教授
第27回「野生生物と社会」学会大会(北海道・江別大会)
大会長のご挨拶並びに趣意書
大会長佐藤先生
大会長  佐藤 喜和

 あらゆる野生生物を含む生物多様性の保全が人類共通の目標とされてからおよそ30年の月日が流れ、生物多様性基本法と国家戦略に基づき、市町村レベルでの地域戦略づくりとその施策の社会実装が求められています。その一方で、人口減少と高齢化が進む地域社会では、地域自体の持続可能性をめぐる議論が本格化し、さらに気候変動に伴い自然災害の増加が懸念される中、生物多様性を育むグリーンインフラを活用した災害に強い持続可能な地域づくりが注目されています。このような人間社会の変化の陰で、数を増やし分布を拡大して、さらに人や人の生活圏を忌避しなくなった野生動物が人間社会に様々な軋轢をもたらすようになり、野生動物にも強い地域づくりが求められるようになりました。「野生生物と社会」学会では,このような野生生物と人との多様な関係性を対象に,学問分野を横断する学術研究ならびに実践的な知見や議論を学界のみならず広く社会に示すことを役割としています。
 この度、第27回「野生生物と社会」学会大会を、酪農学園大学(江別市)にて開催する運びとなりました。道内人口の約5割を占める260万人が暮らす札幌圏では、ヒグマやエゾシカをはじめ様々な野生動物問題が発生しています。本大会は、「野生動物問題における役割分担と連携」をテーマに、ヒグマやエゾシカの市街地侵入に関する公開シンポジウム、野生動物行政における役割分担と連携に関する大会企画テーマセッションのほか、様々なテーマセッションとポスター発表が行われます。エクスカーションでは、Sapporo Urban Wildlife Tour を実施し、札幌市内のアーバン・ベア、アーバン・ディアの出没地点などを見学します。
 新型コロナウイルスの感染状況の動向は見通せませんが、オンラインと対面を併用するハイブリッド方式にて開催します。2019年度以来の一部対面開催となります。たくさんの方々の参加と発表、テーマセッション、企業等によるブース展示をお待ちしています。皆様の積極的な対面での参加を心から歓迎します。