大会企画:公開シンポ連動「現地エクスカーション」

大会開催案内 最終版(pdf書類44ページ)(2013/11/18)

 本大会では地域開催の特色を活かしたプログラムとして、公開シンポジウムと連動した4 つの現地エクスカーションを企画いたします。また、夜はエクスカーションでお世話になった地域の方々をお招きして、4 コース合同のエクスカーション懇親会を開催いたします。

A コース:住民参画型捕獲と地域づくりコース(篠山市大山地区)

 自然環境豊かな篠山の小さな集落に様々な被害をもたらし始めた特定外来生物アライグマ。地域の自然を守るには、自らがアライグマ問題に立ち向かう必要があると感じた大山地区の住民により結成された「大山捕獲隊」。住民たちの小さな活動は、3 年目にして5 つの自治会を動かし、住民参画型の徹底した捕獲活動へと広がりを見せています。すでに捕獲数はのべ50 頭以上を超え、活動中心となった「大山上」地区では、アライグマによる農作物被害がゼロとなり住民参画の成果も得られています。このエクスカーションでは、活動拠点やワナの設置の状況、地域づくりへと発展してきた様々な活動の現場を案内します。

B コース:集落主体の獣害対策コース(篠山市東木之部集落・今谷集落ほか)

 公開シンポジウムⅠで地域の取り組み事例報告をしていただく篠山市東木之部集落を訪問します。シカ・イノシシ対策として集落の周囲に頑丈な集落防護柵を設置する対策は各地で実施されていますが、集落防護柵は設置した後の点検・補修作業がもっとも重要となります。通常、山中に柵を通すとメンテナンスが大変になってくるため、効果を持続することが困難なのですが、東木之部集落では必要な知識をしっかりと得て、施工当初から点検・補修を第一に考えた努力や工夫をされています。さらに散策道や展望台を設置し、春にはコバノミツバツツジを観賞するなど、つらい点検作業に楽しみをもたらし、意欲継続を図っています。このエクスカーションでは実際の点検ルートを集落の方と一緒に歩いて点検作業を効率的かつ継続的に行うための集落の創意工夫を学びます。さらには高齢の女性も含む集落一丸となったサル追い払い体制やアライグマ捕獲の推進など、集落の獣害対策推進体制も必見です。そのほか、兵庫県で実績抜群のサル用電気柵「おじろ用心棒」を設置し、集落ぐるみの獣害対策に取り組んでいる今谷集落を訪問します。

C コース:大学と地域の連携による環境保全型農業コース(篠山市真南条上集落ほか)

 篠山市は,H18 年度から神戸大学と連携し,地域課題の解決に取り組んでいます。篠山市の基幹産業である農業分野の課題は多く,農学研究科との連携は欠かせません。農学研究科と連携している地域は複数ありますが,そのなかでも,農学研究科の知見を上手に活用し,農作物のブランド化に取り組んでいる真南条上集落を訪ねます。兵庫県を流れる武庫川の源流は,篠山市真南条の愛宕山にあります。真南条上は,集落を単位として、生産工程の全部又は一部について共同で取り組む農業(集落営農)をいち早くとりいれ,「武庫川の水質や地域の環境も大切に守っていきたい」という想いから,環境にやさしい農業を実践しています。その生産物を「ホタルと共生している特別栽培米コシヒカリ」として販売しています。その米の食味値測定や,生物層・雑草などの生態調査を,神戸大学に依頼する形で,科学的な裏付けも欠かしません。また,この集落は「丹波の赤じゃが」という新品種の生産にも成功しています。今回は,赤じゃがが旬の季節ですから,田んぼや川を視察したあと,丹波の赤じゃが掘りを体験し,篠山の地力を感じていただければと思います。

D コース:住民の笑顔とギフチョウが集う里コース(丹波市多田地区)

 「笑顔が集うギフチョウの里:多田区」を地区の将来像として掲げ、住民主体の生きものとの共生環境づくりに取り組んでいる丹波市春日町多田地区を訪問します。多田区では、荒れている里山を整備・管理してカンアオイを増やし「将来春の女神ギフチョウが飛び交う里にしたい」と考え、自治会の中に保月の里づくり協議会を立ち上げ、専門部会を設け月1回の定例会を開きながら、10 年間里山整備とギフチョウ等の飼育放蝶にボランティアで取り組まれています。山裾に手づくりのビオトープを創り、里山整備で着花率のあがったコバノミツバツツジ等を観察するため、橋も架け、地元の小学生も見学に来るなどしています。2008 年に自生するカンアオイに卵が産み付けられたのを確認し、今年春にはギフチョウ飛び回るのが観察できるまでになりました。10 年にわたる地域住民の地道な取組で、ギフチョウの繁殖に成功した多田区を訪ね、その足跡をたどりながら住民主体の生きものとの共生環境づくりの秘訣を探ります。