「野生生物と社会」学会青年部会企画
『野生生物と農業の共生シンポジウム:社会科学的視点からのアプローチ』

【日時】

 2019年11月16日(土)14時30分~17時00分(開場:14時15分~)


【会場】

 TKPスター貸会議室四谷第1会議室(入場無料)

 (https://www.kashikaigishitsu.net/facilitys/st-yotsuya/access/


【趣旨】

 里地・里山をはじめとする農地環境は、多様な野生生物に生息地を提供しているが、近年の耕作放棄の増加や伝統的な農業形態の消失は、農地生態系の劣化をもたらしている。

 我が国では、生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)で設定された愛知ターゲットにおける国別目標7において戦略目標で、「2020年までに、農業、養殖業、林業が行われる地域が、生物多様性の保全を確保するよう持続的に管理される。」と掲げている。

 しかしながら、2018年に開催されたCOP14では、目標達成には、進捗が不十分な速度で、緊急の行動を取る必要があると評価された。本シンポジウムでは、社会科学的視点から農地環境保全と農業振興に関する研究を行っている若手研究者3名により最新の研究を紹介して頂く。

 本シンポジウムが、加速化が求められる生物多様性や野生生物の保全と農業振興の両立に資する社会科学的な研究分野の発展の一助となれば幸いである。

⇒広報用チラシ


【スケジュール】

14:30:ご挨拶・趣旨説明

15:00~:「インパクト評価手法を用いた農業直接支払制度の影響評価」高山 太輔氏(福島大学)
 昨今、科学的証拠に基づく政策形成(evidence based policy making: EBPM)など、原因と結果の関係性を正しく推定し仮説を導くことの重要性が高まっている。日本型直接支払制度をはじめ、生物多様性や環境保全型農業に関する農業政策においても、政策効果の検証の必要性は高まっている。本発表では、インパクト評価手法である「差の差の分析(Difference in Difference: DiD)」や傾向スコアマッチング手法などを用いた農業直接支払制度の影響評価に関する研究を紹介して頂く。

15:45~:「経済実験に基づく環境保全型農業直接支払の効率性評価」上松 愛実氏(名古屋大学)
 現在、環境保全型農業直接支払制度によって環境配慮農業や環境配慮取り組みに対する補助金政策が実施されている(行為支払)。一方、環境農業政策において先進的なヨーロッパでは、政策の効率性から行為支払ではなく結果(生物の増加量や希少種の増加量)に基づく補助金政策への転換に関する議論が活発に行われている。本発表では、実験的アプローチを用いて結果支払の効率性に関する研究を発表して頂く。

16:30~:「地域資源に対する価値観がため池保全行動意図に及ぼす影響の解明」今井 葉子氏(茨城大学)
 環境配慮農業の実施には、農業従事者やその地域住民の意思決定が重要である。つまり、どのような価値観や心理的要因が農業従事者の環境配慮行動を引き起こしているのかを解明することは、環境農業政策の推進に欠かすことができない。本発表では、計画的行動心理学の知見に基づき、農地生態系保全に資する環境配慮行動の要因分析に関する研究を発表をして頂く。

16:35~:各登壇者に分かれて議論タイム
16:50~:まとめ

【参加費】

 無料

【主な対象】

 生態学や生物学、野生動物管理学など社会科学を専門としていない方も含めた農地生態系保全に興味を持っている方(特に、学部生や大学院生、農業や環境農業政策に関する知識があまりない方々など)にも公聴可能なレベルを想定しておりますので、ふるってご参加ください。

【問い合わせ先】

「野生生物と社会」学会 青年部会 企画代表:豆野皓太

 E-mail:k.mameta78[at]gmail.com

【主催幹事】

 豆野皓太(北海道大学)、久保雄広(国環研)、加藤恵里(滋賀県立大)、東口阿希子(岡山大)