「野生生物と社会」学会会長よりご挨拶
会長 梶 光一(東京農工大)
先の理事会におきまして、赤坂前会長の後任に選ばれました東京農工大学の梶です。どうぞよろしくお願いいたします。
急激な人口減少の時代を迎え、大型獣が分布を拡大し生息数を増加させ、獣害問題が深刻化しています。法律が鳥獣保護法から鳥獣保護管理法へと改正され、従来の狩猟や駆除に加えて新しい捕獲体制で臨むことが可能となりました。政府は野生鳥獣肉(ジビエ)の利用拡大を推進し、保護から利用を含めた管理へと大きな政策転換が行われました。
このように社会が大きく変動するなかで、持続的に野生動物を管理する仕組みづくりと野生動物管理の専門家の養成が急務となっております。会長就任にあたり、高等教育における野生動物管理のコアプログラムを検討するワーキングを設置して、大学における野生動物管理の教育の質を確保し専門家を育成する仕組みづくりに貢献したいと考えています。
当学会は、野生生物と人・地域社会との多様な関係のありようを調査研究し、自然科学と社会科学の融合によってその問題解決を目指しており、科学を政策に繋げる当学会の役割はますます重要になってきています。伊吾田宏正副学会長、角田裕志事務局長をはじめ理事及び役員各位のご協力等をいただきながら、学会運営に鋭意努める所存です。会員各位のさらなるご理解やご協力を心よりお願いいたします。
「野生生物と社会」学会副会長よりご挨拶
副会長 伊吾田宏正(酪農学園大学)
5月の理事会において副会長を仰せつかり,梶光一会長の補佐をさせて頂くことになりました。
これまで、野生生物に関する諸問題は、一時的な、または一過性のある課題であると社会に誤解されてきたように思います。それでは、問題が大きくなってから、やっと着手する、「後手」の対応となってしまいます。また、逆に問題が少し改善すると、対策は打ち切られ、根本解決には至らないということが繰り返されてきたように思います。野生生物の保全または管理には、そもそも持続性が求められることを、積極的に広く普及していく必要があります。
そのための、知の蓄積、自由な議論、人材の育成の場として、本学会が果たす役割は大きいと考えます。本学会の増々の発展のために、尽力させて頂きたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。