会長から会員へのあいさつ
野生生物保護学会の今後の運営方針と展望について
野生生物保護学会会長 敷田麻実
このたび和田一雄会長の後任として、野生生物保護学会の会長をお引き受けいたします金沢工業大学情報フロンティア学部情報マネジメント学科の敷田麻実です。皆様のご支持によって選任されたわけですが、年齢も若く、学会運営の経験も少ないのですが、できれば私の経験と創造性で、今まで社会的にも重要な役割を果たしてきたこの学会をよりよくするという要望にできるだけ応えたいと思います。
そして、この学会に対する「みなさまの理想」を実現するためにできるだけ「成果」を上げてゆきたいと考えておりますので、よろしくお願いします。
さて、マニフェストではありませんが、会長就任に当たり野生生物保護学会の今後の運営方針と成果目標を明らかにしたいと思います。これは会員の皆様に会長が宣言すると言うより、このような方向で学会運営を進めるのだという、学会運営執行部からの情報提供とコミュニケーションだとお考えください。
まず、今後の学会の基本方針として、(1)情報を積極的に公開し会員で共有する、(2)野生生物保護学会のミッションを鮮明にする、(3)会員サービスを明確にする、(4)研究論文投稿など学術的活動の促進、(5)学会の多様化の促進、の5点をあげたいと思います。
第1の、「情報の積極的な公開と共有」は、学会の執行や財務にかんすることも含め、総会以外でも定期的な報告を行い、会員の皆様が学会の運営を把握できるように努力します。さらにそれを共有していただいた上で、主体的な提案などを受け入れてゆきたいと思います。これに関連して、今年11月に金沢で開催予定の学会では、野生生物保護学会の今後の運営方針を検討する自由集会を持ちたいと考えております。
第2の、「学会のミッションを明らかにすること」は、会員の皆様が本学会に期待することを明白にすることでもあります。今後本学会が存在価値を認められて発展してゆくためにも、ミッションの明確化は必要だと考えられます。
さて野生生物保護学会は、規約第2条に「本学会は、アジア・西太平洋地域を中心にした世界の野生生物の保護と管理を目的とする科学研究の発表および研究交流を目的とする」と目的を示しております。ここにありますように、野生生物保護管理を目的とした発表の場の提供と研究交流という学会のミッションを再確認して、そのために必要な活動を優先的に進めます。
またこれに関連して、当面の課題として考えられるのは、アジア地域との連携、環境経済・政策学や環境社会学などの関連分野との協働だと考えております。
第3の「会員サービスを明確化」は、学会費をお支払いいただいているすべての会員のみなさまに対して、学会で提供できるサービスの内容を明確にしたいと思います。そのためには現在の学会のサービスを見直し、また学会誌の発行など提供できるサービスの質の向上に努めます。また、これに関連して遅れておりました英文誌・和文誌の発行などは、早ければ来年度末までに、遅くとも任期中には正常化したいと考えております。
第4の「研究論文投稿など学術的活動の促進」は、本来の学会の役割でもあり、さまざまな機会を通してみなさまにお願いをいたしますし、また投稿などの「表現の場」の明確化と自由化に努めます。
第5の「学会の多様化の促進」は、まだ多様な意見があると思います。この点に関しては、研究対象としての野生生物という「人と生物」の観点に加え、野生生物に対する人間どうしの「人と人」の問題にも踏み込むような多様化を考えておりますし、民俗学や社会学分野との連携も視野に入れたいと考えております。なお、前述した今年度の学会の自由集会でこの件を議論したいと思います。
以上のように、今後の学会運営にかんしては、会員のみなさまに情報を公開し、共有した上で、今後とも社会からその存在が期待され、その期待に応えることをミッションに、野生生物保護学会の運営を進めていきたいと考えております。そして、ぜひ学会の活性化とサービス向上、また社会的なミッションの明確化による「学会の存在価値の向上」を目指したいと思います。そのためにも会員一人ひとりのみなさまのご支援と参加を期待しております。
なお、前執行部からの引き継ぎも含め、現在執行部で検討している案件は以下の通りです。
- HPのアップデートと会員とのコミュニュケーション手段・サービス提供窓口としての位置づけと改善
- 英文誌・和文誌の位置づけの見直しとその内容の整理
- 執行体制の明確化と執行部および事務局の職務分担の公開
- 研究論文などの投稿の促進
- 学会の多様化の促進:これまでの「野生生物=野生動物」の偏りの是正、多様なニーズに応える体制の確立