野生動物と社会
−人間事象からの科学−

監訳:
伊吾田宏正,上田剛平,鈴木正嗣,山本俊昭,吉田剛司
翻訳:
秋庭はるみ,伊吾田宏正,石ア明日香,上田剛平,桜井 良,鈴木正嗣,竹田直人,角田裕志,羽山伸一,矢部恒晶,山本俊昭,八代田千鶴,吉田剛司
ISBN 978-4-8300-3231-8
本書は野生動物にかかわる人間事象をまとめた先駆的な書である『Wildlife and Society The Science of Human Dimensions』(Michael J. Manfredo, Jerry J. Vaske, Perry J. Brown, Daniel J Decker, and Esther A Duke eds, 2009, Island Press)を翻訳したものです。
わが国でも野生動物に関わる人間事象的な報告が増え,特に人と野生動物との軋轢が顕在化した近年では,その重要性や注目度が急増していますが,これらの仕事は生物学ベースの野生動物学では“副業”とみなされることが少なくなく,また発展が著しい社会科学ベースの野生動物研究も,残念ながら現時点では“市民権”を獲得しているとは言い難い状況です。
本書は,海外における最新の人間事象研究やその動向を紹介しており,わが国における同様な研究分野の発展に重要な役割を果たし得るでしょう。野生動物と人社会のあり方についての道筋をつけてくれる1冊で,野生動物に関わるあらゆる分野の方にとって必読の書です。
文永堂出版 定価8,190円(本体7,800円+税) 送料400円
2011年3月発売,A5判,366頁
目次
第1章 序論:魚類と野生動物の人間事象の過去と未来
第1部 魚類と野生動物の保全に変化をもたらす社会的要因
第2章 魚類と野生動物管理に影響を与える社会的,人口学的動向
第3章 野生動物に対する世界的価値の理解
第4章 市民参加を促す自然保護NGOの出現
第5章 未来の描出:人類,野生動物,気候変動
第2部 野生動物管理の哲学における社会的構成要素の構築
第6章 変化する野生動物管理の文化
第7章 野生動物管理における統合的な人間事象のためのフレームワークに向けて
第8章 アマゾンにおける野生動物の共同管理とペルー国立パカヤ-サミリア保護区の支援活動
第9章 保全の目標達成にむけたコミュニティとの協働
第10章 包括的評価における生態系要素としての人と野生動物
第3部 魚類と野生動物の管理における法律と制度
第11章 魚類と野生動物の政策における法的な動向
第12章 北米における野生動物管理基盤としての公益信託主義の復活
第13章 “タチの悪い”問題:制度構造および野生動物管理の成功
第14章 保全エンジンへの燃料補給:魚類および野生動物管理を行うための資金はどこから捻出するか
第4部 現代の魚類と野生動物管理問題に対する社会的展望
第15章 社会生態学からみた都市圏における野生動物管理
第16章 保護地域周辺の野生動物との軋轢における人間事象
第17章 遊漁にとっての新しいマーケット
第18章 次なる疾病への準備:人と野生動物との接点
第19章 21世紀の野生動物の観察市場と管理の接点における挑戦と機会
第20章 アクセスと野生動物の民有化の傾向
第21章 熱帯林の狩猟管理における社会的事象
第22章 多様化する社会における効果的な保護管理戦略としてのコミュニケーション
第23章 まとめ:野生動物管理とは何か?