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野生生物保護学会第8回大会 大会シンポジウム

「森林生態系保全のためのニホンジカ管理」


コーディネーター:小金澤正昭(宇都宮大学農学部)・
           須田知樹(東京農工大学農学部)

 1980年代以降、高密度化し、分布域を拡大させたニホンジカによる農林業被害、いわゆるシカ問題が日本各地で頻発した。事態が農林業に限定されている間は比較的単純な問題であった。すなわち被害を軽減、あるいは除去することが唯一の目的になるからである。しかし、自然植生へもニホンジカの影響が目立つようになると事態は複雑化する。
 一般に、「シカの食害による自然植生への悪影響」と表現されるが、これは農林業における益害論的な考え方に基づいており、適切な表現ではない。ニホンジカが疎林化をもたらすことは自然な現象なのか、尾瀬にニホンジカが進入することは自然な現象なのか、という根本的な問いかけに回答する必要がある。つまり、自然地域における「シカ問題」を生態学的見地から適切に評価した上で、生態学的価値観に基づいて、自然地域におけるシカ問題に対処するべきである。このシンポジウムでは、尾瀬をふくむ日光国立公園を舞台に、ニホンジカと森林生態系の関係について生態学的に整理し、研究者と行政が手を携えて公園の生態系保全を実現していくための将来像を模索する。

会場

 宇都宮大学峰キャンパス(宇都宮市峰350)

期日

 2002年11月3日(日) 午後1時〜5時

参加費

 シンポジウム参加費 500円、懇親会参加費 一般:4500円、学生:3000円

連絡先

 小金澤正昭(0287-47-1185, masaakik@cc.utsunomiya-u.ac.jp)
 須田知樹(042-367-5737, sudak@topaz.ocn.ne.jp)

プログラム

総合司会:谷本丈夫(宇都宮大学農学部)

第1部「ニホンジカと生態系の関係」

  1. 基調講演 「生態系における大型植食有蹄類の振る舞い」
    須田知樹(東京農工大学農学部)
  2. 植生 「奥日光のウラジロモミ個体群の更新に与えるシカの影響(仮題)」
    佐藤顕信(早稲田大学)・谷本丈夫(宇都宮大学農学部)
  3. 哺乳類 「シカによる植生改変とネズミ類およびその捕食者の食性の関係(仮題)」
    倉島治(東京大学農学部)・須田知樹(東京農工大学農学部)
  4. 土壌動物 「ニホンジカが奥日光の土壌動物群集に与える影響(仮題)」
    小峰史子(宇都宮大学大学院教育学研究科)・石井清(獨協医科大学医学部)・ 角屋堯英(宇都宮大学教育学部)

「行政の取り組みと今後の方向性」

  1. 栃木県 「栃木県におけるニホンジカ保護管理計画の経緯と現状」
    栗原栄(栃木県林務部自然環境課)
  2. 「尾瀬におけるニホンジカ対策について-国立公園と野生生物」
  3. 総括
     小金澤正昭(宇都宮大学農学部)

第3部 「総合討論」

司会 谷本丈夫(宇都宮大学農学部)

(C) 2003.10 野生生物保護学会
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