「野生生物と社会」学会 野生動物管理教育認証制度ワーキングループ最終報告

2025年12月19日

ワーキンググループの目的

 日本学術会議の「人口縮小社会における野生動物管理のあり方に関する検討会」の提言に基づき、野生生物の科学的管理を担う専門人材の育成および地方自治体等への配置を進めるため、「野生生物と社会」学会が野生動物管理教育及び認証制度に果たす役割を検討する。

ワーキンググループのメンバー

伊吾田宏正、宇野裕之、江成広斗、梶光一、小寺祐二、鈴木正嗣、丸山哲也、横山真弓、吉田正人(座長)

検討経緯

「野生生物の保護管理に関する専門家の育成と認証制度を考える」を開催

2021年12月11日第1回認証制度ワーキングループ

  1. 認証制度ワーキングの任務及び検討事項の確認
  2. 野生動物管理教育及び人材配置における大学、学会、行政の役割分担
  3. 野生動物管理教育に係る認証制度のあり方と本学会の役割
2022年4月18日第2回認証制度ワーキングループ

ゲストに野生動物保護管理事務所の大西勝博氏、知床自然大学院大学設立財団の中川元氏をお招きし、北米の野生動物管理認証制度、知床のリカレント教育についてお話を伺った。

  1. 北米の野生動物管理認証制度について
  2. 知床における野生生物管理に関するリカレント教育について
  3. 大学における野生動物管理教育に関する単位履修の認定方法について
  4. 社会における野生動物管理に関する実務経験の評価ついて
  5. 大学間の単位互換に関する協定等について
  6. 認証機関の安定的な運営について
  7. 野生動物管理認証取得者の出口戦略について
2022年5月22日「野生生物と社会」学会理事会に中間とりまとめを報告
2022年10月29日「野生生物と社会」学会・北海道江別大会においてテーマセッション

  • 主催:「野生生物と社会」学会 野生動物管理教育認証制度検討ワーキンググループ
  • 鈴木正嗣、宇野裕之、梶光一、伊吾田宏正、丸山哲也、大西勝博(WMO)、中川元(知床自然大学院大学準備財団)、吉田正人
2023年10月19日第1回野生動物管理教育プログラムの実装に向けた意見交換会
2024年3月13日第2回野生動物管理教育プログラムの実装に向けた意見交換会
2024年7月31日第3回野生動物管理教育プログラムの実装に向けた意見交換会
2024年12月13日「野生生物と社会」学会理事会に意見交換会の経緯を報告
2025年5月19日野生動物管理教育プログラムに関する農水省・環境省と意見交換会
2025年5月20日「野生生物と社会」学会理事会に意見交換会の経緯を報告
2025年7月10日「野生生物と社会」誌に野生動物管理教育に関する特集論文掲載
https://www.jstage.jst.go.jp/browse/awhswhs/13/0/_contents/-char/ja
2025年8月12日 第3回認証制度ワーキンググループ

  • 学会としての野生動物管理教育プログラムの認証方法について

  • 今後の学会における野生動物管理教育のフォローアップの方法
2025年12月2日第4回認証制度ワーキンググループ

  • 認証制度ワーキンググループの最終報告文案の確認
  • 今後の学会における野生動物管理教育のフォローアップの方法

検討内容と課題

1、野生動物管理教育における大学、学会、行政の役割

野生生物の科学的管理を担う専門人材の育成および地方自治体等への配置は急務であり、大学、学会、行政が協力して進めてゆく必要がある。

2、野生動物管理教育の認証制度について

 認証制度については、米国の野生生物協会TWSの制度 が参考となるが、日本の現状に合わせた制度設計にする必要がある。

3、野生動物管理教育における本学会の役割

 本学会が、野生動物管理教育の中で求められる役割を果たすとすればどのような条件が必要か。

1 米国野生生物協会(The Wildlife Society)の認証制度は、教育機関において野生動物管理に必要な科目を習得し、倫理を身につけた者を認証するAWB(Associate Wildlife Biologist)と野生動物とその生息地の保全管理に必要な生態学に基づいた科学的知識を習得し専門性と倫理を身につけた者を認証するCWB(Certified Wildlife Biologist)の2段階に分かれている。AWB認証者が、CWBの認証を受けるためには、AWB認証後10年以内に5年以上の実務を経験することが求められる。2025年現在、600人がAWB認証、1800人がCWB認証を受け、うち35人が空港においてバードストライクを防ぐQAWB(Qualified Airport Wildlife Biologist)の認証を受けている。

4、残された課題

2 米国では1937年に採択されたPittman-Robertson Federal Aid in Wildlife Restoration Actによる銃、弾丸、弓の購入に対する11%の課税をもとに、2025年度は7億5千万USドル(約1162億円)が各州の野生生物保全・回復プロジェクトに配分され、その中から専門的人材雇用の財源が確保されている。

表1.野生動物管理学教育コア・カリキュラム

科目群科目名学修項目数単位数
野生動物管理学野生動物保全管理学71.0
野生動物被害管理学71.0
不動化技術111.5
捕獲技術(わなと猟銃)
野生動物感染症学40.5
野外活動技術30.5
捕獲に関わる制度と倫理30.5
形態・生理学的解析技術40.5
生態学生態学81.0
造林・植生学生態学91.0
政策、管理及び法律自然保護と自然資源管理61.0
鳥獣・環境関連法規・政策81.0
農林業被害対策関連法・政策
生物多様性と希少種の保全51.0
人口問題と地方自治論30.5
農村における土地利用・コミュニティ計画論31.0
定量科学行動モニタリング手法62.0
地理情報システム(GIS)とリモートセンシング
コミュニケーション住民参加型計画立案演習51.0
合 計19科目92学修項目15.0単位