Wildlife Forum -野生生物 井戸端会議- 25巻2号

2021
[ J-Stage ]

CONTENTS

巻頭エッセイ

改めて『「野生生物と社会」学会』(PDF)

鈴木正嗣 岐阜大学/「野生生物と社会」学会 会長

02

特集1:野生生物保護管理の最前線

野生動物と新しいライフスタイルに向けて

草刈英紀(一般社団法人 リアル・コンサベーション) / 五箇公一(国立環境研究所)
浅川光彦(酪農学園大学) / 敷田麻美(北陸先端科学技術大学院大学
浅川陽子(WWFジャパン) / 村田公一(日本大学/よこはま動物園ズーラシア)

24

特集2

資源かゴミか!? 捕獲団体の適正処理の体系化

平田滋樹(農研機構) / 小寺祐二(宇都宮大学)
古澤仁美(森林総合研究所) / 八代田千鶴(森林総合研究所)
山畑直人(兵庫県立大学) / 鈴木隆央(株式会社 環境管理センター)
大迫政浩(国立環境研究所)

20
行政研究部会        日本学術会議公開シンポジウム 「持続可能な野生動物管理システムの構築と人材養成」の概要
22
受賞者の声        2019年度「野生生物と社会」学会学会賞 若手奨励賞受賞者の声
37
団体紹介        一般社団法人ニホンザル管理協会
38
The研究室.com        麻布大学 獣医学部 動物応用科学科 野生動物学研究室
39
BOOK Review        はじめて学ぶ生物文化多様性
41
WILDGRAM        営巣地で佇むカワウ



トビラのコトバ

 200種以上のウイルスを保有するコウモリ。COVID-19やSARSなど、パンデミックを引き起こした感染症の起源もコウモリであったと考えられ、一部地域では、感染症の発生予防を目的としたコウモリの殺処分という安易な対策も行われてきた。しかし、殺処分はウイルスの発生増加や個体群移動による感染症拡大のリスクを高めるという可能性が指摘され、どれも失敗に終わっている。
 コウモリは、花粉の媒介、種子の散布、害虫駆除など人間の生活や生態系維持において重要な役割を果たしている。COVID-19のパンデミックでOne Healthの必要性の声が高まる中、私たちがやるべき対策は、ウイルスを失くすことではなく、ウイルスとの共生、つまり、人と自然が調和する社会を築くことではないだろうか。

文・浅川陽子/WWFジャパン
写真 ©TRFFIC